2017年6月7日水曜日

民主主義と事実誤認

「印象操作」と言って事実の隠ぺいを図るのは勿論とんでもないが、最近は安倍さまのNHKまでが加計学園問題を取り上げるようになってきている。これを多として、加計学園問題はさて措き、別の角度から日本の政治風土に根を張る病根に触れる。

「今のご質問には事実誤認があります。」国会で野党の質問にまっとうに答えずに、質問をはぐらかす総理の答弁によく出る台詞である。答弁者は学校の教師ではない。質問自体が間違っていると指摘する権利はない筈で、時々委員長から「総理、質問に答えてください」なんて注意を受けたりするのを見ていると実に情けなくなるが、テレビ放送ではカットされるので、多くの皆さんは悲しい思いをせずに済んでいる筈だ。

1強独裁体制の現政権下では、政権による強弁がまかり通っていることは既にご承知の通り。情けなくは思うが、国内の政治体制がそれを許していることも事実だ。あとはマスコミの活躍を期待するしかない。ところが、目を海外に転じ、外国から日本を見た時どう見えるかを知るのも無駄ではあるまい。たまたま先月来マスコミで報道された、似たような2件の事実がある。国会やら都議会関連の報道が多いので、最早忘れかけているようでもあるが、マスコミ関係者には忘れずにいてもらいたい。

次の二人は何れも国連で任命された特別報告者の肩書を持つ人の、我が国に関する報告に対する我が政府の反応である。

1.ジョセフ・ケナタッチ氏:先月18日、現在国会で審議中の「共謀罪」法案をめぐって、人権侵害の懸念を表明した公開書簡を日本政府宛に送付した。

2.デービッド・ケイ氏:今月2日に都内で記者会見をして「メディアの独立性が大きな脅威にさらされている」と懸念を示した。

何れも民主主義国家の根本を問われた形である。両氏の発言に関して政府は、「国連報告者とは個人的な者で国連とは関係ない」としながらも、すぐに反応して閣議決定までした反論書簡を送ったり、総務大臣が記者会見して反論したりしている。何れも理屈は報告者に「事実誤認があり」に尽きる。果たしてこんなことが国連で通用するのであろうか?

0 件のコメント: