2017年6月20日火曜日

先人への思い

通常国会終了後の首相記者会見が官邸で開かれ、その終了30分後に森友学園前理事長籠池氏の自宅などが大阪地検特捜部の家宅捜索を受けた。記者会見で出る筈も無い森友学園関連の質問について、念を入れて質問封鎖しているのだろう。しかも、捜索容疑は小学校建設をめぐる国の補助金と障害のある園児数に応じて支払われる府の補助金の不正受給だけで、小学校予定地の取得など、いわゆる森友疑惑の『本筋』については捜査対象になっていないそうだ。何とも分かりやすい構造だ。

今の日本を10年ぐらい経ってから振り返った時、歴史的分岐点に立っていたなんてことになってほしく無い。しかし安倍首相は、この夏で一山こえられる、後は本峰である憲法改正へどのように進むかだ、と考えているかもしれぬ。改憲は安倍氏が考えるほど容易でないかもしれぬが、自衛隊は実態からして軍隊じゃないかと思う年代が圧倒的になってしまったことを考えると、安心はできない。専門家でないのではっきり分からないが、確かに実態は軍隊に限りなく近づいていることは否定できなのだろう。

しかし今のところは未だ「戦争のための軍は持たない」とした憲法の歯止めは辛うじて効いている。他国の戦争に関わることについては、一昨年の安保法制の改悪以来、改憲が無くても相当危険な状態になっているようなので、安倍総理にすれば、あと一押しで改憲可能と踏んでいるのだろう。先に述べたように、2020年までの改憲に反対する人でも自衛隊を軍隊として認めるべきと考えている人は多い。自民党の石破茂氏も典型的な一人で、自分の考えには相当な自信を持ち、総裁選に立候補すべく仲間も集め派閥もどきを立ち上げている。

先日も外国特派員協会のゲストに呼ばれて持論を展開した。内容をYOUTUBEでじっくり聞いてみた。いつもそうだが、本人は論理的に一点の瑕疵も無いかのように自信満々例の上目遣いをしながら喋りまくっていた。「軍隊を持つのは全ての独立国にも与えられた当たり前の権利だ。そして現憲法は残念ながら日本が独立国でない時代に制定されたものである。だから出来るだけ早く改憲して自衛隊の呼称は兎も角、国の独立を担保するために国際法で認められている「軍」を憲法に位置付けなくてはいけない。」と要約できる。

確かに連合軍の占領下で制定されたのは事実でもあるので、若い人が聞けば「なるほど、そうか」と思ってしまうかもしれない。しかし、占領下だろうと、原案が占領軍から示されようと、厳しい条件の中この憲法を制定するために苦労された先輩政治家の苦労をいとも簡単に蔑ろにするこの発言を聞くと、やはりこの人も戦争を知らない世代の人共通の勉強不足だと思わざるを得ない。

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