2017年5月22日月曜日

「日米関係」見直しのチャンス

トランプ政権の閣僚が一応全員決まった。とは言っても政治任用の官僚は未だスカスカらしい。新駐日米国大使についても5月18日に指名承認のための上院外交委員会公聴会が行われ、遅ればせながらハガティ新駐日米国大使が7月にやっと着任予定と発表された。トランプ大統領と安倍総理は極めてウマが合うとされているが、それが両国間にいかなる関係をもたらしたか、はっきり認識できるものは何もない。にも拘らずマスコミはそんな失礼な報道はしない。ま、本格的な外交がやっとボチボチ始まるのだろうから、お手並み拝見するしかあるまい。

先週20日にはベトナムのハノイで開かれたエイペック貿易大臣会議に、今月15日に就任したばかりのアメリカのライトハイザー通商代表が出席した。日本の経産大臣の世耕氏が30分会談しただけで「非常に有益だった」とヘラヘラ顔で語っている。一方TPP担当大臣の石原氏も同じ会議に出席するためかどうか、兎に角ハノイに居て、アメリカ抜き11カ国によるTPP発効に慎重な姿勢を見せるベトナム、ペルー、メキシコの説得にあたり「今年の11月までには何とかした」と渋面で語る。別の場所でライトハイザー氏が「アメリカがTPPに復帰することはあり得ない」と断言しているから当然だ。世耕、石原両者とも貿易担当大臣にも見えるが、日米関係に関し二人の考えに齟齬がないだろうか?

何れにしても、これらの交渉は石原氏流に言えば「所詮は金目の話」あまり興味はない。むしろ心配なのは安全保障面に於ける日米関係だ。トランプ大統領の言うことはころころ変わるので、真意を掴みにくい。最初の外国訪問地にアラビアを選び、いきなり前大統領オバマ氏が取っていた武器輸出禁止を解除して12兆円に及ぶ武器輸出を約束するのもどうかと思うが、これが彼のやり方だと認識する必要はあろう。アラビアまで彼を追いかけてゴマする日本人(孫正義氏)もいるが、言及のしようがない。

おまけにと言うべきか安倍総理には好都合だったろうが、昨日も北朝鮮がミサイルの発射をしてくれた。少なくともトランプ大統領は「日米同盟」堅持のようなリップサービスは言いつつ、一方では「他国の戦争を引き受けるつもりがない」とも発言している。本心は誰にも分かるまい。日本国内には自衛隊を軍隊として認める人もいれば、そうでない人もいる。集団的自衛権についても論議は様々で安定感がない。ただ誰もが安全保障はアメリカ頼みで思考停止に見える。当事者の自衛隊でさえ伝統的に「日本は戦争をしないのだから、戦略的なことは考える必要がなく、そこは米軍にお任せして戦術を錬成すれば良し」としているようだ。

言動が定まらないアメリカ大統領の出現を奇貨として、主権国家アメリカを客観的且つ対等に見ながら、日本も独立国として己の安全保障に関する政治・軍事環境を冷静に分析してみてはどうか。いきなり北朝鮮に対する敵基地攻撃能力を声高に言ってみたり、さもなければ相変わらず「核の傘」念仏を唱えるばかりの陽気でもあるまい。

2017年5月21日日曜日

陛下のお気持ち

昨日の午後、横浜みなとみらいのパシフィコ横浜というとてつもなく大きなホールで、慶應義塾大学が卒業51年以上の先輩を招待した大イベントがあって参加してきた。招待状は4万人に発送され、6千人が参加だから大変なものだ。昭和38年卒業はまるで若輩の下から4番目、上は昭和15年卒業101歳の先輩が参加されていたらしい。しかしテーブル配置がメインステージの真ん前にあったので清家篤塾長を正面から見る形になった。

塾長は今月いっぱいで退任が決まって、後任が既に決まっている。スピーチは素晴らしかったし、現役塾生による塾歌から始まる吹奏楽やコーラスも音楽イベントとしては感動的だったとも言える。ここまでは個人的なことなので記録に留める。清家塾長はきっと人格的にも素晴らしい方なんだろう、天皇退位問題に関する政府の有識者会議メンバーの一人でもある。これまでも政府関連の有識者としてマスコミに頻繁に登場することは知っていた。

総理とどんな縁があったか分からぬが、この有識者会議メンバーになったことはだけは少し残念だ。他にも御厨貴氏なんかも同様であるが、彼らは本当に今上天皇と国民の意を戴して、自らの信ずるところを会議の意見に反映出来ると思い、又は反映できたと胸を張れるのだろうか。そうではあるまい、どう見ても政府の考えに引きずられたように見える。清家氏は間近に見ても、如何にも人が好さそうなおじさんだ。学者だから不偏不党である必要はないし、どんな考えを述べられたかも知らない。

アンチ ナショナリストの立場からすると、こんな難しい問題からは「辞退してほしかった」が正直な気持ちである。多くは引用しないが今朝の毎日新聞に次の記事が大きく報道された。

『天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議で、昨年11月のヒアリングの際に保守系の専門家から「天皇は祈っているだけでよい」などの意見が出たことに、陛下が「ヒアリングで批判をされたことがショックだった」との強い不満を漏らされていたことが明らかになった。陛下の考えは宮内庁側の関係者を通じて首相官邸に伝えられた。』ー中略ー『陛下が、昨年8月に退位の意向がにじむおことばを表明したのは、憲法に規定された象徴天皇の意味を深く考え抜いた結果だ。被災地訪問など日々の公務と祈りによって、国民の理解と共感を新たにし続けなければ、天皇であり続けることはできないという強い思いがある。』

それにもかかわらず、安倍政権は一代限りの特例法の成立を急いだわけだ。上の記事は【遠山和宏】の署名入りで一読の価値がある。詳細は下記参照
https://mainichi.jp/articles/20170521/k00/00m/010/097000c

2017年5月19日金曜日

すまじきものは宮仕え

国会も終版、八方破れで絶体絶命に見えても、政府は余裕綽々の態度で好き勝手な法案を押し通す構えだ。確かに野党がどんなに騒いでもルール上は議席の数がもの言う世界。政権の思うように事が運ぶ可能性が高い。それにしても数さえ持っていれば、強者にはいかなる嘘も許されるとは情けない世の中だ。度々書いてきたことだが、国会関連の報道テレビ報道を観るたびに思うのは、ある時は心ならずも忘れたと言い、またある時は政権の思いに沿った嘘までつかされる高級官僚の憐れさである。

野党の抵抗は少しも功を奏さず、政権の驕慢が止みそうにない世の中には些かうんざりもするが、満つれば欠けるもまた世の倣いで1強政権も大きくなりすぎたか。自民党内部で麻生財務相と菅官房長官の確執が激しくなっているとの報道もある。森友学園事件の発端になった鴻池事務所の陳情記録は勿論麻生はの重鎮鴻池氏が絡んでいる。加計学園事件で問題となっている文部科学省の内部文書。これも内閣は怪文書と切って捨てたが、世に加計学園と国家戦略特区の関りを明らかにしたことは間違いない。

内閣はこの怪文書を書いた犯人について、天下り問題で首になった役人の逆恨みとして特定できているようでもある。その犯人の名前もいずれは明らかになるだろう。ここにも麻生派の息が掛かっているならば、麻生vs菅両派の確執は余計面白くなるだろう。政治の世界にもバランスの自動復元力が働くことを願ってやまない。

2017年5月18日木曜日

国民の一人として「辺野古訴訟」

今や国民的知名度は多少残っていても、人気は絶望的に低いのだろうが、元総理の鳩山由紀夫(現在は友紀夫を名乗っている)氏が主宰するインターネットテレビ放送【UIチャンネル】がある。これを時々見ることがあるのだが、昨日また久しぶりに観てしまった。毎週1回の放送のようだが今週月曜日(15日)で199回の放送だそうだ。UIチャンネル放送はニコニコ動画に組み込まれているので、放送を観るのは少しややこしい(有料の可能性があります)ですが、興味を持たれたら<第199回UIチャンネル放送>で検索してみてください。

面白かったので内容をごく簡単に披露したいと思います。タイトルが「辺野古訴訟の最高裁判断とは」で、鳩山氏と元外交官の孫先享氏が首都大学東京教授であり法学者の木村草太氏をゲストに招いて、辺野古訴訟の最高裁判断について解説してもらう趣向になっていました。沖縄県の辺野古でなんか騒ぎが起きている、くらいの認識しかありませんでしたが、認識が大分変りました。我が認識は、県側にも理屈はあったのだろうが、国を相手取って勝てる筈はあるまい。しかも裁判沙汰になって、最高裁判決まで出た問題を今更知っても仕方がない。てなことで、こんなニュースは関わらないのが基本姿勢ですが、昔テレビでよく観た木村草太氏の名前が懐かしくて、つい番組を視聴してしまったのです。

ところが流石木村氏でした。話がめちゃくちゃ分かりやすくて面白いのです。結論的には最高裁判決は相当な無理を承知で書かれたものであることを立証しています。氏は辺野古に基地を持ってくることに反対している訳ではありません。法律家ですから、裁判所も筋の通った判決を下すべきだと主張します。当然すぎるくらい当然のことで、鳩山氏と一緒に話を聞いていた孫先氏も余計な意見を言わず、ひたすらメモを取りながら傾聴していました。

木村氏の言わんとするところ:最高裁も法律家の集団なので県側の理屈が正しいこと、即ち国が法律の裏付けのない無理押しをしていることを理解しています。そこで最高裁は政府の立場を慮り「国際条約は憲法を乗り越えてでも実行されなければならない」という変な理屈(?)を持ってきているのです。嘗て砂川判決でも同様な手法が使われました。よく言われていることですが、日本政府は日米合同委員会の決定事項に逆らえないようです。理屈にもなりませんから、上告を棄却するのみで極めてそっけない判決文です。

最高裁は法も理屈も無く、政府に肩入れしているだけのこと。しかし裁判官と雖も国民世論を見て判決下す時はあります。国民世論が高まれば違う判決もあったかもしれませんが、辺野古訴訟に賛同する世論の高まり無しと見限っているので、そこに問題があるように思います。以上が結論です。説明は極めて理路整然、知識が体系的に整理構築されてるので、言葉に淀みなく要点が伝わってくる。こういう人が優秀な人なんだろうとしみじみ感じた。

国民の一人としてこの問題を無視していたのも図星である。そこで、細やか乍らブログで取り上げて少しでも沖縄県の人を応援する気になった。

2017年5月17日水曜日

7つの「予言」

先週のMSNニュースに面白い記事が掲載された。『世界の行く先を見つめ続けるビル・ゲイツの7つの「予言」』である。知らない人は殆どいないと思うが、WINDOWS生みの親、マイクロソフト社の創始者である。記事の頭で紹介された文は次の通り。『億万長者にして慈善活動家でもある彼は、ライフワークとして、コンピュータ、公衆衛生、環境の各分野で未来を予測することに取り組んできた。過去には、スマートフォンやSNSが世界を席巻することを言い当てた。そして最近の「予言」も、的中するかもしれない。』

項目だけ見れば次の通りである。
1、バイオテロによって1年足らずのうちに3300万人の命が奪われるだろう。
2、アフリカで食料の完全な自給自足が可能になるだろう。
3、モバイルバンキングが貧しい人々の生活を変えるのに役立つだろう。
4、2035年までに貧困国はほぼなくなるだろう。
5、2030年までに、世界の電力事情を改善するクリーンエネルギー革命が起こるだろう。
6、自動化によって大量の仕事が奪われるだろう。
7、2019年までに人類はポリオを撲滅できるだろう。

どの項目を見てもどこまで信ずるに足るか知らぬが、優れた人の言うことだから反論は出来ないし、反論する話でも無かろう。個人的感想を言えば次のようなことかな。

1番目は穏やかでない。場所が特定されていないのが不気味だ。2番目のアフリカの食糧自給は、いつまでか明示されていない。3番目はモバイルバンキングと生涯縁を持つつもりがないので関係がない。4番目は結構な話でぜひ実現願いたいが、恐らく生きていないだろう。5番目はそうだろうが、こういうことに日本はいつも乗り遅れる。これも目の黒いうちに間に合いそうにない。6番目は既に始まっているが、今後ますます拍車がかかることだろう。7番目はそうでありたい話だ。

こんな話より2年3年後の日本について、優れた人の予言を聞いてみたい。

2017年5月16日火曜日

読後感「外交官の一生」石射猪太郎 著

嘗て外務省東亜局長を務め、戦争拡大に走る軍部に抵抗し、日中和平を試みたことで知られる外交官31年の回顧録。1887年福島県生まれ。福島中学(現福島県立福島高等学校)を経て、1908年、東亜同文書院を卒業し満鉄に入社。その後父の仕事を手伝うべく退社したが、父が事業に失敗し失業。岳父から生活援助を受けながら外交官及領事官試験の勉強に励み、2回目の挑戦で合格。1915年(大正4年)外務省入省、任地は天津など中国から始まり、次いでサンフランシスコ、ワシントンのアメリカ、メキシコ、本省、イギリスを経て中国吉林省で総領事になり、続いて上海総領事を拝命するのが1932年(昭和7年)である。

続いて半年間のシャム公使を務めたのち1937年(昭和12年)東亜局長に就任して外務省の幹部になるが、時恰も盧溝橋事件が勃発して日中全面戦争に突入する年であった。以後世界史的に見れば、日本は世界大戦当事者として真っ逆さまに地獄の底に落ちていくことになるが、著者はオランダ大使を経てブラジル大使の時に日米が開戦、いったん本省に呼び戻されたりするが、終戦末期になって敗色が決定的になっているビルマ大使を命ぜられ、一旦逡巡するも著者の官吏道精神からして断り切れず、ここで終戦を迎え、軍と共に逃避行、結局はイギリス軍に確保されて抑留生活の後、敗戦翌年の7月日本に帰還。8月に免官となる。以上が簡単な略歴

日露戦争勝利直後に誕生し、小国日本が世界の列強に肩を並べつつあるときに成人となり、他国(中国)に進出する目的をもって上海に作られた日本の大学(?)を卒業して外交官となり、国策を背負い外国との折衝の第1戦での活躍。終戦で退官だから日本近代史の申し子的な存在ともいえるだろう。

まさに我が父母の時代で、小生誕生直前の近現代史に関わることではあるので、何となく聞いたことがある事件や人物が多く登場してくる。父母からも教えてもらえなかった史実を、現場に身を置いた当事者の記録として読むことができたのは幸いだった。戦後日本に帰還してすぐに公職追放になり、その暇に手元に残った資料をベースに書き上げたもので、追放解除の目的もあってとも言われているようだが、読む側にとっては貴重な資料であることに間違いない。日本は敗戦と同時に軍部では勿論だが、外務省を含む各官庁が貴重な文書を焼却処分したりしている。現在も同様だが、そもそも歴史に対する責任感の薄い国民と言われても仕方がない。

著者は同文書院の出身で、しかもサラリーマンを挫折してからの外交官であるので、当時としても異色だったのだろう。冒頭に「山男の宮仕え」の1節があり、はなから出世主義には縁遠かったと思える。新橋芸者から2度と来ないでくれと言われたくだりが愉快だ。19章に亘る長文ではあるが最終章に「末尾3題」著者自身が正統外交への思いを締めくくっている。省略しながら以下に引用したい。

「軍国主義の悪夢から覚めた今日、誰しも、在りし日の幣原外交を顧みて、そのとった国際協調主義、平和主義、対華善隣主義政策を礼賛する。死んだ子の歳を数えるようであるが、これは何も幣原氏の創作ではなく、その以前から日本の外交政策として存在はしていた。ただ幣原氏が信念に徹して内外の圧迫に屈しなかった勇気ことが特筆に値する。私は外交に哲学めいた理念などないと思っている。いわば商売と同じで国の利益を最大に、損失を最小に抑えることを心掛けるしかありえない。しかし商売にも信用が大事でこれを無視して、己だけ儲ければいいと言う姿勢で外国から信用されるはずはないだろう。

幣原外交以降の外交は正統外交の理想は温存しながらも、全く自主的性格を喪失した。軍人と右翼が霞が関外交を手ぬるしとして表面に踊りだした。店を預かる外交機関の商売ぶりがきにいらぬとして、用心棒の権助が奥から飛び出して、この値段で買わねば「目にもの見せるぞ」と客を脅したようなものだ。そして政党や国民はこうした強硬外交を喝采した。国民は常に、無反省に猛き者と共にあった。」70年前の記述であり、今日は同様でないことを祈りたい。

2017年5月15日月曜日

要らぬ心配か

中国の北京で土曜日から何やら大きな政治イベント「シルクロード経済圏構想(一帯一路)」初の国際会議が開催されている。参加国は130国とされているが、報道写真を見ると参加者がめちゃくちゃ多い。日本からも二階自民党幹事長が出席していたが、元首クラスが出席している国もあるようだ。これも写真で見ただけのことだが、習近平主席の左隣にはプーチンロシア大統領、右隣にはトルコのエルドアン大統領が陣取っていた。会場は国連総会の議場なんか問題にならに広さで、大きな劇場如き会場が人でびっしり埋まっている。

昨日北京の上空は青空が広がっていたと報じられている。北京と言えば1年中光化学スモッグに覆われた街との印象があるが、大きなイベントが開催されると不思議に青空が出現する。また先週半ばから近隣工場の操業を権力でストップでもさせたのだろうか。何れにしても不思議な国だ。不思議と言えば更に不思議なのは、この会議のハイライト昨日早朝に北朝鮮がミサイルをぶっぱなした。

日本のメディアは揃って「習近平氏の顔に泥を塗る行為」と書き立てるが、習近平氏がそう言ったとは報じられていない。一応北に対して「あまり無茶をしちゃいかんよ」程度は言ったようだが、どこまで本音で言っていることやら。いつものようにひねくれて考えれば、北の若旦那も習近平氏のイベントを祝って祝砲のつもりで打ち上げたことだってありうるだろう。

昨日も書いた通り外国事情は分からぬことだらけだ。アメリカのトランプ大統領は2020年までに間違いなく弾劾されると言う説もあれば、大統領選で彼を支持した人間の支持率は落ちていないとか、今週末からの中東訪問で中東和平に資する大きな貢献があるだろうとか、諸説紛々で何を信じていいか分からない。だからこんなことは心配しても始まらない。

心配すべきは昨日の大相撲。全般的に見れば良い取り組みが多かった。しかし結びの1番、横綱稀勢の里対小結嘉風の取り組みは大問題だ。「今日(二日目)の取り組みを見るまで分からない」とする友人の相撲専門家もいるが、稀勢の里の出場判断が果たして正しいのかどうか?大いに心配だ。